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弁護士ブログ

弁護士ブログ「うちの女」甲斐野正行

2018.10.04

最近、午前9時過ぎころに、処方箋を持ってある薬局を訪れたところ、一人でおられたご主人らしきおじさんが対応してくださったのはいいのですが、

「済んません。うちの正式の女3人がまだ来とらんので、少し時間がかかります。」

 

おー、うちの女!

「正式の」というのは、流石に「正妻」という意味ではなく、雇っている女性の薬剤師さんということのようでしたが、「うちの女」という言葉に久々に出逢って衝撃を受けました。

もしかしたら、私より10歳下くらいでは、このフレーズを生で聞いたことがある人は広島でもほとんどいないかも?

私の亡父(昭和7年生)が、母のことを「うちの女」と言い、「うちの女に何々を持って行かせます」というような言い方をすることがありました。普通は、「妻」とか「家内」とか言うところでしょう。十数年前頃は、父の世代あたりの人で同じような言い方をする人は、たまにいました(流石に普通にはいませんでしたし、品の良い方は使いません。)。

上記の薬局のおじさんは、70代といった感じでしたが、奥さんではなく、雇っている薬剤師さんを「うちの(正式な)女」と言ってましたから、父よりは広い意味で使っていたことになります。

映画「仁義なき戦い」シリーズで、金子信夫さん扮する山守組長も、妻である姐さんのことを「うちの女」と言ってたような記憶がありますが、広島だけの言い方でしょうか。関西や九州でも言いそうな気がしますが。

 

「うちの妻」と「うちの女」では、後者の方が意味的に広いだけのはずですが、後者のインパクトは(特に生のセリフで聞くと)強烈です。妻という特定の人間関係や地位を表す装飾を外して、「女」というネイキッドな名詞にした途端に、なんとも生々しいというか、妻あるいは女性を「所有」「支配」している感が剥き出しな印象があります。

実際の夫婦間の力関係はまた別なのですが、今時の女性権的視点からすれば、妻や女性の権利が確立・尊重されていない時代の、とんでもない女性蔑視的な物言いと言われそうです。

 

ただ、女性が恋人や夫を「うちの男が」という言い方をすることもありますし(上品な方は言いませんが)、夫を「うちの人」というのは結構普通に使われています。男女の立場の違いのせいか、単に聞き慣れているせいか、女性が夫を「うちの人」というのは違和感がありません。そうすると、「うちの女」というのは、人権とは別の次元であり、インパクトが強いのは単なる言葉の慣れの問題かも知れませんが、いずれにしても、もうほぼ死語です。こういう物言いもあったということであげておきます。